二十六、遊び(1)

 翌日、何事もなく極普通の日課を終え、夕食をとってみんながのんびりと遊んでいる時間帯に、なにやら和気あいあいとじゃれ合っている二人組がいると思って目をやると、隊長と王仲純だった。棒きれを振り回してちゃんばらごっこをして遊んでいる。呆れた奴らだ。日中さんざん真面目な斬り合いの練習をしてくたびれて一日の課業を終えたのに、余暇にわざわざそんなことやって遊ばなくたっていいじゃないか。
 俺は見ていてムカムカと腹が立ち、馬鹿二人を見なかったことにしてやり過ごすことができず、わざわざ近付いていって思い切り
「馬っ鹿じゃねえ?」
と怒鳴りつけてやった。隊長がのけぞって腰が砕けそうになりながら
「ギャハハハハ。」
と大爆笑している間に、仲純が
「隙あり!」
と言いながら棒で隊長の鎖骨を一押しすると、隊長はひとたまりもなく尻もちをついて引き続き息も絶え絶えに笑い続けた。
「ヤッター、隊長を倒したぜ!」
「馬っ鹿じゃねえ?」
「ギャハハハ、笑い死に。」
「何が可笑しいんですか? マジ馬鹿。」
何がそんなにツボにはまったのか知らないが、隊長はヒーヒーと笑い続けてコンコンと咳をした。
「あっ、ちょっと、笑いすぎて喘息とか、やめて下さいよ。」
隊長は笑いながらウンウンと頷いてクックックと背中をゆすりながら口を押さえて笑うのを我慢している。
「何が可笑しいんですか?」
「気持ちよすぎる。もっと言ってくれ。」
「……馬っ鹿じゃねえ?」
「ギャハハハハ。」
俺のほうを指さしながら涙目になって笑っている。馬鹿すぎる。
 俺はあきれてむっつりと黙りこみ、笑い崩れている隊長を珍しい生き物でも見るような気分で見下ろした。なんだコイツ。ほんとうに不思議だ。なんでこんな奴が隊長なんだよ。仲純は俺の「馬っ鹿じゃねえ?」という声を完全にシカトして、楽しげに棒を構えると隊長に指しつけて
「もっかいやりましょうよ。」
と誘った。隊長はへらへらと笑いながら立ち上がると、スッと突然にまじめな動作で棒をかまえた。



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