二十三、作品(3)

 終礼を済ませて隊長の部屋に行く。隊長は慣れた動作でお茶受けを出し、茶を淹れる。李隊長は例によりお茶を待たずにお茶受けをもりもりと食べ始める。
「オレお見舞いに来るかどうかずいぶん悩んだんだよ。ワーイお友達が来たーってはしゃいじゃって喘息が悪化したらいけないと思ってさ。そしたら目いっぱい暴れてるんだもの。びっくりしたよ。」
「目いっぱいではないですよ。六割。」
「ふーん。じゃあ十割で暴れたらどういうことになるの?」
「怪我人の山、血の海。死人もでるかもしれませんね。尊い人命をそんなことで失ってはいけませんね。」
「アハハハ、当たり前。」
「お茶入りました。どうぞ。蒙山直送です。」
「わー、いい香り。」
この人ほんとにお茶の味なんて分かってんのかな。お菓子食いに来てるだけなんじゃなかろうか。
「まだちょっとゼーゼーいってるじゃない。大丈夫なの?」
「ええまあじっとしてるぶんにはさほど苦しくもないんで。放っとけば治ってくようなもんです。」
「しかし、まさかキミが喘息持ちとはねえ。人間誰でも弱点はあるもんなんだね。アハハハハ。あ、ゴメン笑っちゃった。」
韓隊長は気を悪くするふうでもなく優雅な手つきでお茶を飲んでいる。
「さっきのあのいじめは、やっぱり司馬懿を倒すためなのかい?」
「司馬懿を倒すとか殺すとか、あんまり日常的に連呼しすぎると、なんだか冗談みたいに聞こえますね。慣れると集中力なくなってきそうで危険だな。」
「ふうん、じゃやっぱり本気なんだ。」
「もちろん。」
「オレ考えたんだけどさあ、司馬懿をやっつけるんだったらやっぱり歩兵じゃなくて騎兵なんじゃないかな。司令部なんか密集隊形でみっちり護られてるでしょ? 馬で踏んづけないと近付くこともできないんじゃない?」
「そうですね。李隊長の鉄騎兵で道を作って頂けたら、我々が身辺警護のてんみたいな奴らをぶち殺しますよ。」
「えっ、オレがやるの?」
韓隊長はニコッと笑った。
「お願いします。」
「アハハハ。ま、いいけどさ。」
李隊長は嬉しそうにくねくねと妙な身じろぎをした。
「ふうん、そっか。オレがやることは織り込み済みなワケね。アハハハハ。」
満足そうだ。



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